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付き合ったとはいえない恋愛
『2ちゃんねる』で語られた、星と姉さんとみっちゃんの物語

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213 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:24:38 ID:AEdqIgbm
「姉さん」は僕の紹介で仕事が決まった。
ちょっと高級なこれまたイタリアンのお店。
そこのウエイターとして働くことになった。
オープン準備は僕もつきっきり。この現場はオープンまであと3ヶ月の時期だった。
彼女はもともとの性格もあり、すぐに皆の人気者。
ここでも「姉さん」は健在だった。
「姉さん」が働いて3日目。この日もいつもどおりの仕事の流れ。
僕は確か、シェフと一緒に食材業者の選定をしていた。
彼女はホール備品の選定を店長と行っていた。
確かテーブルクロスを決めていたはずだった。
僕はシェフとの打合せを一区切り付け、ホール備品チームへ合流した。
(あれ?「姉さん」の姿がないぞ?)
そこにいるはずの「姉さん」の姿がない。トイレか?
店長に彼女の居所を聞くと、体調が悪くて裏で休んでいるという。
急に仕事をするようになったから、疲れがたまったんだろうと思って、
彼女のいるバックスペースに様子を見に行った。
218 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:36:29 ID:AEdqIgbm
扉を開けるとそこには、テーブルに顔を埋めている彼女の姿があった。
さっきの嫌な感じが僕の中で爆発しそうになる。
彼女に近づき、そっと肩に手をやる。
「大丈夫か?」
彼女は言葉を発することなくうなずいた。
多分それが精一杯の答え方だったのだろう。
そのくらい憔悴しきった様子だった。
彼女の脇にはなぜか飲みかけのペットボトルのコーラが横たわっている。
それが、彼女の腕にかかっていて、邪魔そうだったから少し離してあげた。
気の抜けてそうなぬるいコーラだった。
219 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:41:15 ID:AEdqIgbm
10分位その場にいたような感じだが、多分1分もいなかったろう。
その場で立ち尽くす僕はすぐに悟った。
僕にできることは多分無い。そばにいてあげるような関係でもないと。
「気分が良くなるまで休んでな」
あまり話しかけるのも辛そうだし、そう言ってその場を離れようとしたら、
搾り出すように彼女が声を発した。
220 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:46:19 ID:AEdqIgbm
「ちょっと待って」
そして、彼女に顔を少し近づけてみると彼女が続けて言った。
「…の鞄…ピンク…ポーチが…、取って…?」
聞き取れる言葉は多分こんなものだったと思う。
でもすぐに僕は彼女の鞄を探しに行った。
すぐにわかった。いつもの鞄だ。
そしてその中にあったのは「姉さん」がいつもトイレに行くときに持っていく
"ピンクの化粧ポーチ"。
「これだ」
僕はすぐそれを取り出して、まずは中身を開けた。
そのときは罪悪感など全く無かった。
222 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:51:19 ID:AEdqIgbm
女性の持ち物にもかかわらず、当たり前のように中身を見た。
するとそこに灰色のペンケースのようなものと薬やらガーゼやら。
そして小さな医療品を入れているような透明の袋。
そこには血のついたガーゼや使用後の注射針のようなものが入っていた。
224 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:56:05 ID:AEdqIgbm
お気づきの方もいると思うが、糖尿病の患者が使うインスリンの注射器だった。
そう、彼女は糖尿病を患っていた。
僕は情のようなものが現れてきたことに気付いた。
多分彼女の全てを知ってしまったからなんだと思う。
彼女にポーチを渡しに戻ると、彼女はテーブルに顔を埋めたまま、
「そこに置いといて」
彼女はそういって、僕にお役御免を告げた。
227 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:02:09 ID:AEdqIgbm
それから、30分くらい経ってからもう一度彼女の様子を見に行った。
彼女はだいぶ良くなってきたのか、椅子の背もたれに体を預けて起き上がっていた。
「大丈夫か?」
「うん、だいぶ良くなった。ごめんね。すぐ仕事に戻るから」
「いや、大丈夫だ。今日はもう帰った方がいいんじゃないか?」
「嫌!皆に迷惑かけるし、心配かけたくない!」
随分とはっきりと強い口調で彼女は言った。
僕は注射器のことや病気のことを詳しく聞きたかったが、
彼女の強い意志に圧倒されて、喉まで出ていた言葉を飲み込んだ。
230 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:07:02 ID:AEdqIgbm
その日は、一応彼女も時間まで働いて帰ることになった。
僕は彼女よりも少し長く働いた。
自分の仕事を終えて帰りの車に乗り込むと、すぐに彼女の携帯を鳴らした。
「大丈夫か?」  なんかこの言葉ばっかりだな。。。orz
「うん今日はゴメン。今帰り?ちょっと家寄ってくれない?色々話しなきゃいけないし」
僕はこうして、彼女の病気の全てを知ることとなった。。
233 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:13:18 ID:AEdqIgbm
待ち合わせたファミレスで彼女は自分の病気について、淡々と話をした。
彼女はT型の糖尿といって、
ある日突然インスリンが分泌されなくなるタイプだ。子供でもかかるらしい。
糖尿の中でも5%くらいの人間しかいないそうだ。
良く聞く糖尿というのはU型糖尿と言って生活習慣病の一種と言われている。
彼女の糖尿はそれとは違い、インスリン注射が必ず必要で、
それが無くては生きていけないという。原因もわからないものらしい。
糖尿というと不摂生のイメージがあるが、それとは違うことを必死に僕に説明していた。
糖尿という色目で見られることがすごく嫌で、それを説明することが、すごくストレスになること。
なぜ自分だけが、治る事のない病に犯されてしまったのか?
甘い物も一杯食べたいとか、糖尿を告げれば就職できず、隠せばバレてクビになってしまうとか。
あと、旅行もいけないとか、車も運転できないとか、離婚の原因もそれだったとか…
もう、ここには書ききれないくらいの事を延々と彼女は話した。

ちょっと、糖尿病の方には申し訳ない表現があるかもしれないから、
何かあったらレスしてくれ。悪気は全く無いので。。。
235 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:17:58 ID:AEdqIgbm
僕にはただ聞くことしかできなかった。初めて知ったT型糖尿病。
みんなも思った思うが、僕も実は不摂生だと思っていたから、申し訳なくなってすごく心臓が痛かった。
それでも彼女はそんな僕の気持ちを無視するかのように話し続けた。
236 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:21:19 ID:AEdqIgbm
彼女は病気が発覚して美容師を辞めたらしい。
もちろん入院したことも原因だが、先生からもサービス業は難しいって言われたらしい。
デスクワークのバイトも一時、したらしいのだが、
とにかく人と接することが好きで仕事に活力を見出せなかったようだ。
将来は自分でお店をつくりたいという夢もある。
だから、リスクを覚悟で僕に相談をしてきたという。
そして最後に今の仕事だけは辞めたくないから協力して欲しいと言われた。
239 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:28:15 ID:AEdqIgbm
僕はその日ほとんど眠ることは無かったと思う。
今までの「姉さん」とのやり取りをずっと思い返していた。
僕がほほえましく見ていた、食前のトイレはインスリンを打っていた。
そういえば、デザートを食べなかったとき「甘いものは無理」って言ったっけ。
僕が勝手に嫌いだと思い込んでいたのは彼女の言葉通り、「無理」だったんだ。
コーラも血糖値を上げるために飲んでいたものだった。
良く食べたり良く飲んだりしてたのは、
病気持ちという偏見をもたれないための演出だったらしい。
だから、体の心配をすると少しムキになっていたと。
268 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:05:51 ID:kOL2XQQ/
次の日僕は職場で店長とシェフに彼女の話をした。
彼女は"T型"の糖尿で、あんな症状やこんな症状があると。
でも彼女、勤労意欲は高いし、なんとか協力してくれと。
まるで前日の彼女が乗り移ったかのように話をした。
もちろん自分が紹介者だってこともあったわけだが。
しかし、僕の心配をよそにすでに彼女の人柄は皆の中に溶け込んでいたようだ。
「大丈夫ですよ。星さん。それがわかっていれば、みんなで協力できますよ」
ああ、なんていい人たちなんだ。この店は絶対成功するぞ。
美味しい料理とアットホームなスタッフがいれば、お店なんかなんとかなるもんだ。
とプロデュースをする人間らしからぬことを考えてしまった。
269 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:09:29 ID:kOL2XQQ/
それから、彼女はたまに来る低血糖で人より休憩が多かったが、
みなの協力で楽しく働けるようになっていた。
そして全てが順風満帆に過していたある日、
僕がなによりも嬉しかった言葉を「姉さん」からもらった。


「ホッシーに出会えて良かったよw」
270 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:19:05 ID:kOL2XQQ/
僕はたまに「姉さん」と食事をするようになっていた。
食事って言っても、帰りにラー麺食べたり、ファミレス行ったりって感じだけど。
でも、「姉さん」といるのが楽しかった。
しかし僕には今カノがいるわけで、罪悪感は多少あったが、
僕には仕事と「姉さん」といる時間が充実していて、
今カノを忘れることの方が多くなっていた。
当然のように今カノの「みっちゃん」から、連絡がが来る。
271 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:28:04 ID:kOL2XQQ/
「最近連絡が減ったけど、どうしたの?」
当たり前の連絡だ。僕は100%仕事のせいにした。
「姉さん」のことは当然言えない。
付き合ってるわけでもないし。
でも、そのみっちゃんの言葉で彼女に対して申し訳ないという気持ちと同じくらい、
「姉さん」のことが好きだという気持ちに気付いた。
突然、「姉さん」を意識してしまった。
漏れって悪い男だ。。。
決してみっちゃんのことを嫌いになったわけではないのだが、
もう「姉さん」のことが頭から離れない。
みっちゃんに言い訳を一通り終えるとしばし沈黙が続く。
するとみっちゃんの方が先に言ってきた。
「今から会いたい」と。
ここでまた、みっちゃんへの申し訳ない気持ちが復活。
ああ、俺ってヘタレだ。。。
272 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:33:12 ID:kOL2XQQ/
彼女は待ち合わせをしたファミレスにいた。
(うっ、やっぱりかわいい。。。)
彼女とは1年近くの付き合いになる。
僕が一目惚れした相手だ。
「姉さん」も可愛いタイプだが、この子は別格だ。
大きな瞳で見つめられると
いつも僕は言うことを聞いてあげるしかなかった。
そんな魔力をもった瞳。
今日もこの魔性の瞳は健在だ。
273 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:36:03 ID:kOL2XQQ/
着席速攻僕が放った言葉は
「ゴメン!」
「どうして誤るの?仕事だったんなら仕方ないじゃない?」いつもの瞳。
(うう・・・)
「仕事だったんなら仕方ないじゃない?」いつもの瞳。
(うう・・・)
「どうして黙っちゃうの?」ちょと困った感じの瞳。これは反則だ。
(うう・・・)
「ゆう君!なんとか言ってよ!」あれ?怒ってる?
「コーヒー頼んでいい?」って、俺あほか。。。
274 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:43:21 ID:kOL2XQQ/
注文したコーヒーがテーブルに来るのを待たずに彼女の攻撃が再開。
「なんかあるんでしょ?見てればわかるよ。
仕事なんて言い訳でしょ?私のことが嫌いになった?
飽きた?私の嫌なとこがあったら言って!
うざい?面倒臭くなった?」
(どれも違うんだけど。。。)
「なんかいつもそうだよね。自分ことあまり話そうとしないし、
都合悪いとすぐ黙る。ねえ、なんで私たち付き合ってるの?
最近あまり会えないし、電話もない。。。。。。。」
一連の流れは多分こんな感じだったと思う。
275 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:52:56 ID:kOL2XQQ/
注文したコーヒーが来ると僕はいつもどおりダイエットシュガーを入れて、
いつもより長くコーヒーをかき回していた。
「もう充分砂糖溶けてると思うんですけど!」
(うん、みっちゃん、いい突込みだよ)
漏れはハッとして、その手を止めた。何かしゃべんなきゃ。。。
僕は少し考えてから言った。
「嫌いとかじゃないんだ。。。」
しかし、この言葉は漏れの意思とは関係ない意思を伝えていた。
「そーゆーことね。。。はっきり言えば!?嫌いになったって!」
さすがに水をかけられたりはしなかったが、
実は内心、水かけられるんじゃないかとドキドキしてたのは忘れられない。
そして、みっちゃんは席を立ち上がりはき捨てるように言った。
「絶対別れないからね!」

ええええええええっっっっっっっ!!!!!???????別れるって言ってくれる流れだったろう?
別れないのになんで立ち去っていくわけぇ!?

意味もわからず、僕は夜デニセットを注文した。多分w



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