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付き合ったとはいえない恋愛
『2ちゃんねる』で語られた、星と姉さんとみっちゃんの物語

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283 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:27:27 ID:kOL2XQQ/
みっちゃんとの話し合いから、数週間が過ぎたと思う。
内心連絡しなきゃと思いつつ、僕の指はいっこうに彼女の番号を押そうとしない。
俺の親指ヘタレと、指のせいにする始末。
でも、本当はやっぱり「姉さん」と仕事で充実してたんだ。
だからといって「姉さん」との関係が進展するわけではないのだが。。。
職場でも努めて意識をしないようにしていたし。
ただ、仕事も忙しくなり、「姉さん」と食事をすることが少しづつ減りはじめていたことも
僕の理性を守ってくれていた。
「姉さん」は相変わらず低血糖と戦っていたし、
それを見るたびすごく切なくなって、
色恋話は持ち出せそうに無いなんて勝手に思い込んでいた。
俺の親指がヘタレな以外は全てがいつもどおり流れていたと思っていた。

だけど、僕は少しなめていた。「姉さん」の糖尿病を。。。
284 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:32:01 ID:kOL2XQQ/
オープンまであと1ヵ月を切ったある土曜日だった。
僕はこの時期になるとスタッフのトレーニングをかねて、
ケータリングの仕事を一本取ってくる。
とあるパーティ会場の料理とサービス請け負うのである。
料理の仕込みはほとんどやってから行くのだが、
サービスをするスタッフ達にとっては良いトレーニングになる。
もともとそこの会場にいる熟練スタッフ達の補佐をしながら、体を慣らしてもらうんだ。
もちろん、未経験者にとっては辛い時間になる。
ミスをすれば熟練スタッフから罵声も飛ぶ。
285 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:35:07 ID:kOL2XQQ/
少し心配だったが、今回は「姉さん」も参加した。
事前に彼女にはやめた方が良いのでは?と言ったのだが、
思いっきり怒られた。
「3〜4時間位自分の体コントロールできるっつの!」
それが彼女の答えだった。
僕はいつ彼女が低血糖がおきても良いように、
ポケットに飴玉を忍ばせていた。
もちろんコーラを片手に。
286 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:42:19 ID:kOL2XQQ/
仕事は順調に進んでいた。
僕は隅のほうから店長と2人で皆のことを観察していた。
誰はスムーズに動けてるとか、誰はイマイチだとか。
そんなやりとりをしていたが、僕は「姉さん」ばかり追いかけていた。
多分半分以上は見ていたと思う。
いつ倒れたりしないかドキドキしていた。
「姉さん」は僕の心配をよそにすごく順調に動いていた。
しかし誰でもそうだが、一瞬気を抜く瞬間がある。
動きっぱなしだから、当然だなw
そして僕は「姉さん」が一息つく瞬間を見てはビクビクしていた。
過剰に反応していた。
もう、僕はまるで子供のお遊戯会を見ている親のような心境だ。
経験したことないけどwww
287 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:50:05 ID:kOL2XQQ/
多分21時を回った頃、パーティは終焉を迎えた。
「姉さん」は、やりきった。
僕は最後のお客さんがはけると同時に「姉さん」のもとに駆け寄った。
「大丈夫か?」
彼女はいたずらが成功したような子が見せる笑顔で親指を立てた。
僕はそれを、見て安心した。
「頑張ったな♪」
僕は持っていた飴玉を差し出した。
彼女は、まだ片付けが終わってないからといわんばかりに
飴だけを奪い取るようにして、仕事に戻った。

本当は気付かなくてはいけなかったんだ。
彼女が言葉を発しなかったことに。。。
365 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:33:44 ID:kOL2XQQ/
多分22時を回った頃だったと思う。
店長と今日のスタッフの動きを再確認しているときだった。
「救急車呼んでーーーー!」
僕はすぐにわかった。
彼女が倒れたんだと。
立ち上がったときに倒れた椅子を直すこともなく、ざわついている方へ走った。
「ビニール袋持って来い!」
彼女を抱えてる奴が叫んでる。
良く見ると彼女が目を閉じている。
「離せ!このやろう!何するつもりだ!」
僕は彼女を奪い取った。
366 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:37:38 ID:kOL2XQQ/
僕は彼女を奪い取った。
彼女のことは俺が一番知っている。
どこから湧いた自信かわからないが、僕はそう思ったんだ。
奪い取られた彼が言う。
「過呼吸だよ。ビニール袋持ってくればすぐに治るって!」
俺は奴を睨み付けて言った。
「ふざけんな!何も知らないくせにでしゃばんな!」
「コーラでもオレンジジュースでもなんでもいいから甘い飲みモン持って来い!
それと救救急車は呼ぶな!」
誰に言ったわけでもない。
ここにいる全員に向けて出せるだけの大声で怒鳴った。
そう助けを求めておきながらこう付け加えた。
「見せモンじゃねーんだ!仕事に戻れ!」
368 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:40:08 ID:kOL2XQQ/
彼女の耳元で話しかける。
「大丈夫か?」
答えがない。良く見ると口から泡?よだれ?を吹いてる。多分泡?
(落ち着け俺!)
何度もそういい聞かせていたが、どうにもならない。

コーラ到着。

ダメだ。意識が無い。

ストロー要求。

これもダメ。当たり前か!

どうすることもできなくてただ僕は彼女を抱えて
答えのない問いかけを続けていた。
すると意識が戻り始める。
369 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:44:29 ID:kOL2XQQ/
「・・・・・・・い・・・」

なんか言ってる!

「・・・・車・・・嫌・・・」

「それは大丈夫だ!」
僕にはすぐにわかった。
救急車を呼んで欲しくないんだ。
以前病気のカミングアウトをされたとき、言っていた。
救急車だけは嫌だと。
素人は低血糖くらいですぐに救急車を呼ぶから、大騒ぎになって困ると。
血糖値さえ戻れば、すぐに落ち着くと言っていたんだ。
370 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:46:16 ID:kOL2XQQ/
「コーラ飲めるか?!」
彼女はうなづいた。
コップを少しだけ傾けて
ちょっとづつ口に入れるつもりだったが、
見事に口からこぼれた。
(入れすぎだ俺!)
371 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:48:57 ID:kOL2XQQ/
ストローにコーラを溜めて
親指で上部を押さえながら少しづつ、流し込む方法を考えた。
ずばり的中。
彼女の喉が大きな音を立てて、コーラを飲み込んだ。
「星さん!星さん!救急車きましたよ!」
(はぁ?何でだ?)
373 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:53:09 ID:kOL2XQQ/
もうすでに後ろに救急隊員が近づいてきている。
誰かが、すぐに呼びやがったんだ。
もう仕方ない。後は救急隊員に任せよう。
本当は救急車が来てくれて助かったんだけど。
「彼女の荷物ありますか?」
救急隊の問いかけにスタッフの1人が慌ててとりにいく。
「誰か同乗できますか?」
なぜか一瞬僕は尻込みした。
さっきまであんなにでしゃばってたのに、急に怖くなった。
僕が付き添っていくべきなのかどうか。。。
374 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:59:12 ID:kOL2XQQ/
星さん!行ってください!」
店長に背中を押されて我に帰った。
この状況下で付き添うのは僕しかいないと。
彼女の荷物を持って同乗する。
彼女の荷物の中から掛かりつけの病院の診察券を発見。そ
の病院へ急行することになった。
車内のやり取りはあまり覚えていない。
病院までは20分くらいだったと思う。
はっきりと覚えていたことは救急隊の1人が
僕にハンカチともガーゼともいえない白い布を手渡してきたことだった。


どうやら僕はいつのまにか涙を流していた模様です。
377 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:06:21 ID:kOL2XQQ/
病院に到着。
僕は普段病院なんて無縁な健康優良児!
何をどうして良いのかわからず彼女のそばについて歩いた。
「お連れ様は待合室でお待ちください!」
ちょっと甲高い声の年増の看護婦ににらまれた。
(待合室ってどこだよ?)
378 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:11:36 ID:kOL2XQQ/
別の看護婦に色々質問された。
倒れた時の状況や彼女のこと、僕のこと、色々。
まるで尋問。答えに困ることもあった。
僕と彼女の関係を聞かれたときはめんどくさくなって「彼氏です」って言っちゃった。
僕の嘘を見破るかのように、待合室にいた中近東系の外人カップルと
売れないスナックのママみたいなおばちゃんが、僕を見てニヤついてた。
379 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:19:10 ID:kOL2XQQ/
(ここは冷静になれ俺!)
。。。無理!ソファーに座っても2秒で立ち上がる。
うろうろ歩き回る。
中の様子はうかがい知ることもできず、何もすることがない。
ああ、俺って無力。
僕が落ち着かなかったわけは二つ。
今回の仕事を彼女にさせてしまったこと。
無理してでも止めていれば結果は違ったはず。
それともう一つは彼女の様子に気付いてやれなかったこと。
飴玉を渡したときにはまだ、何とかできたはず。
とにかく僕は、自分の責任ばかり考えていた。
これで彼女に何かあったら、僕はどうすればいいんだろう。。。
390 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:43:45 ID:kOL2XQQ/
何分位経ったかわからないけど、突然僕の携帯が鳴った。
店長からだ。
「星さん、浜口(彼女の偽名)はどうですか?」
「うん、大丈夫だと思うよ」
努めて冷静に僕は言った。本当は何もわからなかったけど。
「星さん、ところで鞄と車どうします?」
すっかり忘れていた。彼女の鞄のことしか頭に無かった。
運よく車のキーは鞄の中だし、
僕は店長に車と鞄を病院まで持ってきてもらうよう頼んだ。
391 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:49:09 ID:kOL2XQQ/
30分くらいして店長は到着。
病院の外でタバコを吸いながらしばし、店長と雑談。
もちろん彼女の話だ。5分位話をして、店長にはお引取りを願った。
明日も早いし、迷惑をかけたくなかったから。
店長は「じゃあ帰りますね」と言って帰ろうとしたが、
1歩も踏み出すこと無く、こう言った
「星さん。浜口は彼女ですか?」
僕はドキッとしたがすぐに答えることができた。
「違うって!www」
394 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:54:01 ID:kOL2XQQ/
多分かなり表情は強張っていたと思う。
店長は僕の動揺で全てを理解したのかこう言って帰っていった。
「好きなら苦労すると思いますよ、僕は。。。じゃあお先に帰ります。」

ぬおぉぉぉぉぉ!!!店長お前カッコ良すぎるぜ!さすが、一流のサービスマン!
なんて突っ込みを言えるはずも無く、
店長の言葉の意味を考えながら、
店長がタクシーを捕まえるとこを眺めていた。
396 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:57:55 ID:kOL2XQQ/
長い!一体中では何が行われているんだ?
彼女の様態がものすごく不安になり、また、治療室の前を行ったりきたり。
冷静に考えるとテレビの中ではよく見かけるシーンだが、
実際にやってしまうもんだと、今になってみると笑えるなww

その時、また携帯が鳴った。
397 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:01:24 ID:kOL2XQQ/
今度は誰かと思い液晶を見ると
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
みっちゃんだ!?
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
なんでこんなときに?急いで外に出る。

「もしもし」

出てしまった!
399 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:06:28 ID:/kAqJmX+
彼女の声。
「今大丈夫?」

(大丈夫じゃありませんって!)
「どうしたの?」

「この間のことなんだけど、もう忘れちゃった?」

(忘れるわけありませんって!毎日親指と格闘してましたよ!)
「うん、覚えてるよ。ホントゴメンね。。。」

「あれ?今どこ?」


「ゴメン。今病院なんだ。。。」

と言って、ここまでの経緯を話した。「姉さん」に気があるということ以外は全部。
彼女はすぐに電話を切ってくれた。
なんで今日電話してくんだ?!
なんてちょっとイラつきながら、また、静寂の時間が訪れる。
402 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:10:32 ID:/kAqJmX+
「星さん。もう大丈夫ですよ。どうぞ、中に入ってください。」
あの甲高い声のおばはん看護婦に呼ばれて中に入ることができたのは、
もう次の日付をとっくに越えてからだった。
不安と焦りが交錯する複雑な気持ちで彼女のベットに近づいた。
405 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:17:01 ID:/kAqJmX+
憔悴仕切った様子で瞳を閉じている彼女がいる。
僕の足音に気付いたのか、彼女が目を開ける。
「大丈夫か?」
大きく見開くことの無い彼女の目がうっすらと開き、
僕を見つけると彼女は少しだけ微笑んで、
すごくか細い声で予想だにしない返事を返してきた。

「その『大丈夫か?』って、好き♪」

確かに今まで、僕はこの言葉を何度投げ掛けてきただろう。
そのときは、その言葉の意味が僕のボキャブラリーの無さを
象徴しているようで少し凹んだけど、
安心したのか僕の目からうっすら涙が出来てきた。
409 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:22:44 ID:/kAqJmX+
僕は彼女の手を握り締めて、
しゃっくりともオエツともいえるような声で、
もう一度「大丈夫か?」と言った。

情けないけど本当はこんな感じだった
「うぅ。。だいじょっうぶっか?。。うぅ」
涙を一生懸命こらえようとした。

彼女はいつもの「姉さん」ぽい笑い方を少しだけしてくれて答えてくれた。

「大丈夫だよ」


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