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付き合ったとはいえない恋愛
『2ちゃんねる』で語られた、星と姉さんとみっちゃんの物語

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634 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:02:27 ID:/kAqJmX+
姉さんと会ってから3日目の土曜日の朝、彼女から電話が入った。
僕はまだ、姉さんのわがままに対する答えが出ていなくて、電話にでることに少し躊躇した。
「もしもし?」
「起きてるか?ww」
姉さんのいつものテンションに少し心が和んだ。
「今日暇か?」
本当は、夜に友達と約束してたけど、
姉さんに会いたかったから、ムッとしながらだったけど答えた。
「暇ですけど。。。」
姉さんはいつのも調子のまま
「ディズニー行こうぜ、ディ・ズ・ニー!」
「はぁ?なんで突然ディズニーランドなんだよ」
「だってさ、東京の思い出作りっつたら、T・D・Lだろ?」
姉さんが岐阜に行くのが本気だと実感した。
635 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:08:46 ID:/kAqJmX+
僕は友達にキャンセルの連絡を入れて、姉さんとTDLに向かった。
姉さんはいつもの調子で喋ってる。岐阜の件はしばし休憩だ。
TDLに付くと姉さんはすごくはしゃいでいた。
ものすごい人だったけど、その人波をかきわけて、姉さんは突き進む。
「ホッシー!ミッキーの耳つけようぜ!」
(何を言い出すんだこの女!そんな恥ずかしいことできるわけねーだろ!)
「無理無理w姉さんだけつけろよ」
「何照れてんだよ!ww」
姉さんはそう言ってショップの中に突き進んで、僕の分まで勝手に購入した。
僕はさすがに頭にそのカチューシャをつけることはしなかったが、一応、クビにかけた。
もう、それが精一杯っすよ。。。orz
637 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:12:24 ID:/kAqJmX+
アトラクションはどれも混んでいて、
待ち時間がものすごいことになっていた。
それでもなんとか、2〜3アトラクションに乗ることができた。
相変わらず姉さんは楽しそうだ。
僕もすっかり姉さんのペースにつられて、
姉さんの"わがまま"に対する答えなんてどこかに行っていた。
638 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:17:20 ID:/kAqJmX+
日も沈みパレードの時間がやってきた。
僕はいつもパレードを見る場所を決めてある。
シンデレラ城に近いトゥモローランド脇の喫煙所だ。
ここの塀に腰掛けて見ると結構前の人が邪魔にならずに見ることができる。
少し遠いけど、人ごみの中に入りたくなかったから。
僕は、少し急いでその場所に向かった。
姉さんが後ろから
「ホッシー早いよ」
僕は
「早くいこーぜ」
少し歩くペースを落とした。
それでも、はやる気持ちを抑えられず、また少し足早になっていた。
姉さんのペースが落ちていく。
僕はまた、ペースを落として反省する。
641 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:22:15 ID:/kAqJmX+
そんなことを数十メートル繰り返して、ふと振り返ると姉さんがいない。
僕はハッとした。
彼女の楽しそうな姿にすっかり彼女が糖尿であることを忘れていた。
俺、一瞬パニック。
見渡すと姉さんの姿がない。
ミッキーの耳を探す。
いない。
辺りは暗い。わかんねーよ!
さらにパニック!
僕が走り出そうとしたとき、以外にも近くに姉さんがいたことに気付く。
僕から数メートルも離れていない道の脇に座り込んでいた。
ちっちゃいからわかんなかったよ。。。
「大丈夫か?」
姉さんは低血糖になっていた。
「コーラ・・・・」
「わかった!とりあえずここでじっとしてろ!」
姉さんが絞り出した声を聞き取って僕はコーラを買いにダッシュした!
647 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:33:29 ID:/kAqJmX+
多分園内で一番早く走ってた。学生の時以来だ。こんなに早く走ったのは。
普段はあまり気にしてなかったが、TDLには自販機が無い。当たり前だ。
不便を感じた。

売店到着。ものすごい列だ。
またまた、パニック。
とりあえず並んだ。
(俺並んでる場合じゃない!)
我に返って、一番前に行き、注文をしようとした男性にあわてて言った。
「すいません!今彼女が糖尿病で。。。えっと。。」
(早く言え!)
「今、低血糖を起こしてしまって、コーラが欲しいんです」
多分彼は僕の言ってることの半分も理解できていなかったと思うが、
僕の慌てっぷりに圧倒されたのか「どーぞ」と言ってくれた。
僕は並んでいる人達に向かって何度も「すみません;」と言いながら、横入りをさせてもらった。
648 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:36:26 ID:/kAqJmX+
一番大きなサイズのコーラを手に、また僕はダッシュ。
彼女のもとに戻って、あわててコーラを渡すと
彼女は2,3口ゴクゴクのどを鳴らしてから、ゲップをする。
僕は彼女の背中を撫でながら、彼女の様子だけを隣でずっと眺めていた。

そして、心の中であることを思っていたんだ。。。
650 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:43:01 ID:/kAqJmX+
彼女が「ゴメンね」と、やっと言葉にしたときには
すでにパレードは終わっていて、
華やかな賑わいが少し影を潜めていたと思う。。。
僕は彼女のうなだれた姿を見ながら伝えなきゃいけない使命感にかられた。
しかし、迷うことはなかった。
「俺、ずっと姉さんのそばにいるよ。今日みたいなことがあっても俺がずっと姉さんを守っていく」
僕の言葉とは思えない位スムーズに口にすることができた。
そして、一世一代の思いを伝える。

「だから一緒に岐阜に行くよ」
652 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:47:17 ID:/kAqJmX+
少しだけ彼女の肩が動いた気がしたけど、彼女は顔を上げない。
僕は、彼女の肩に手を回し、そっと僕に体を近づけた。
彼女は何も言わずに、泣いていた。。。
その涙に僕も少しつられていたけど、
男はこんなとこで泣くもんじゃないと、必死に我慢をしていた。

彼女の涙のわけも知らずに。。。
654 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 20:51:51 ID:/kAqJmX+
次の日になっても、僕は昨日の件で興奮してた。
決心をしたら、後は行動しかない。
家の解約とか、退職の手続きとか、
友達にも連絡しないといけないしとか、
彼女のオヤジさんに挨拶いかなきゃとか、
結婚が先かとか、おばあちゃんに挨拶が先かとか、
頭の中でごちゃごちゃ考えていた。
だけど、僕は大事なことを一つ忘れていた。
姉さん達はいつ岐阜に行く予定なのかってこと。
急いで、僕は姉さんに電話した。
「今から行っていい?」
658 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 21:09:57 ID:/kAqJmX+
彼女とはいつものファミレスで落ちあった。
少し、元気がないような感じがした。
着席しても、いつものテンションじゃない。
でも体調の悪いときのそれとは違う感じだった。

「大丈夫か?なんかテンション低くない?」
「いや、そんなことない」
強がりのように思えた。

とりあえずコーヒーを飲みながら、僕が話を始める。

「岐阜の件なんだけど、予定はどうするの?」
彼女は、予想もしなかった答えを返してきた。

「ゴメン。。。ホントに行くなんて言うと思わなかったよ。。。」
そう言って、なぜ、一緒に行って欲しいと言ったかのか説明を始めた。
彼女の言い分はこうだ。
660 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 21:16:14 ID:/kAqJmX+
前回ファミレスで話した時、岐阜に行くという報告をする予定だった。
その前に僕のことが好きだということだけはどうしても伝えたかった。
そして、お別れにするつもりだったらしい。
ただ、姉さんが本当に言いたかった"わがまま"は、
一度だけデートをしたかったことだと言った。
確かに姉さんとは食事以外でまともにデートしたことなんて無い。
でもその日に目の前で別れた僕を見て、
一緒に岐阜に行ってくれと言ってしまったという。
すぐに嘘だと言わなきゃいけないと思ったらしいが、
姉さんも一緒にいたいという気持ちがあり、なかなか切り出せなった。
それで、ディズニーランドでも言って、
軽い感じで嘘だと言える雰囲気にしたかったと。
だけど、姉さんが低血糖になって僕が、一緒に行くなんて言ってしまったもんだから、
かなり動揺してしまったらしい。

昨日の涙の理由は、僕に対して申し訳ない気持ちと、
もう会えなくなってしまうことに対する涙だった。
662 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 21:23:44 ID:/kAqJmX+
それでも僕は「岐阜に行く」といったけど、
姉さんは首を縦に振ることはなかった。
僕の仕事は彼女がやりたかった仕事でもあるという。
それを奪うのはできないと。
僕は健康体なのに、糖尿病の彼女と同じ道を歩むようなことは絶対にさせられないと。
そんなことになってしまったら、彼女は一生後悔することになると言った。
彼女は僕が作ったお店でこれからも食事をすることが夢。
そしてそれをつくる僕がいないと彼女の夢は叶わぬ夢になってしまうと。。。
僕らはファミレスで人目をはばからず泣いていた。
そして最後にちっちゃな体を震わせながら、少しかすれた声でこう言った。


「ホッシーに出会えてほんと良かったよ」

僕はやりきれない気持ちがあったけど、抜け殻になることはなかった。
なぜなら、自分の仕事に対する使命感が今まで以上に大きくなったからだ。
666 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 21:29:49 ID:/kAqJmX+
彼女の出発の日を迎えた。
おやじさんは家の件でもう少し後になると言っていた。
昨日僕は彼女に何かプレゼントをしようと考えて買い物をしていた。
僕はプレゼントにすごく頭を悩ませたけど、
化粧ポーチを買うことに決めた。
彼女のポーチは少し血も付いてたりしたし、
だいぶ使い古されている感じだったから。
人前に出すには少しみすぼらしい感じだったのを僕は見逃していなかった。やるな俺。
僕はちょっと奮発をして、ブランド物のポーチを買った。
ちょうど良い大きさのものがどれ位の大きさか微妙だったが、
一生懸命注射器の大きさを思い出しながらチョイスしたものは
彼女の趣味とは少し違うものだったかもしれない。
だけど、それであれば、誰が見ても注射器が入ってるなんて思わないだろうと思ったんだ。
673 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 21:50:50 ID:/kAqJmX+
東京駅のホームの中まで僕は付き添った。
糖尿に関しては彼女の方が詳しいに決まってるのに、
途中で低血糖になったら、こうするんだよとか、
人前で注射器だしたらダメだよとか、
お弁当はこれを食べた方がいいよとか。。。

「おまえは、何様だよwww」

っていつもの突っ込みを入れられても、僕は本当に心配で仕方なかった。
一人旅をする子供を見送る親の心境。多分。
電車の発車時刻まで1時間くらいあったから、
意外とのんびり過していた。
ホームのベンチに座りながら、僕は彼女にプレゼントを渡した。
手提げ袋に入ったまま手渡した。
「はい、プレゼント」
彼女は言った。
「いつ渡すのかと待ってたよww」
そりゃそうだ、ずっと手に持ってたわけだからな。。。orz
675 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 21:55:03 ID:/kAqJmX+
「今開けていい?」
「いや、電車で開けてくれ」
冷静に答えると
「うっ、そう言われると無性に開けたくなる。。。」
そういって、彼女は袋の中に手を入れた。
「ちょっちょっ!!おまっ!」
僕はあわてて制止した。
ポーチの中に僕はあるものを忍ばせていたから。
彼女は僕の制止を振り切って
「いーじゃん、いーじゃんw」と言いながら、袋を開けた。
「おっかわいい!」
そう言って、中を開ける。
「使いやすそーww」
うん、喜んでるwww
「あっ、何これ?」
中に入っている手紙を彼女が見つけた。
677 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 22:01:28 ID:/kAqJmX+
「ちょっ、頼むからそれは後で読んでくれ」
もう僕の言葉なんて彼女の耳には入ってなかった。
その手紙の中には2枚の便箋で僕の気持ちを目一杯書き込んでいた。
内容はカンベンしてくれ。
ただ、彼女は読み終わって、こう言ってくれた。

「由美はちゃんと、病気と向き合って生きてくよ」

そして、もう一つ僕の大好きな言葉を涙と流しながら言ってくれた。

「ゆうすけに会えて本当に良かった。。。」

彼女が初めて下の名前で呼んでくれた。
彼女がそう言うと、僕はやっぱり泣いてしまった。
679 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 22:05:31 ID:/kAqJmX+
発車の時間が来た。
彼女はドアが閉まるギリギリまで外に入てくれた。
僕らは何も話すことなく、手をつないでただ、立っていた。
できることなら、この手を離したくない。
無情にも発車のベルがなる。
彼女は僕の手を放した。
そして、最後に僕のほうを見て一言。

「ゆうすけ、ありがとうな」

ああ、本当にこれで終わりか。。。彼女はまっすぐに僕の目を見ている。
僕は、今でもそのときの彼女の目を忘れていない。
680 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 22:09:31 ID:/kAqJmX+
「元気でな、由美」
ちょっと照れくさかったけど、僕は「姉さん」と言う呼び方を卒業した。
そして、電車の扉が閉まり、彼女が行った。
僕の手に温もりだけを残して。

結局、彼女はポーチの中にある僕が本当に見つけてほしくなったものを見つけずに旅立った。





僕がポーチの一番奥に入れていたのは、サーフボードを模ったシルバーのネックレスだったんだ。

こうして、僕らの「付き合ったとはいえない恋愛」が終わった。
682 :◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 22:18:27 ID:/kAqJmX+
僕は、あれからいつもどおり、また、新しいお店を作っている。
お店を作るたびにデザートは、
糖尿病の患者でも安心して美味しく食べられるようなケーキを作れないかって投げ掛けている。
皆から無理だって言われるけど。
色々探したら、無糖のケーキは発見した。
だけど、決して美味しくはない。味に深みがない。
やっぱり砂糖ってスゲーなっていつも思う。
姉さんから聞いたのだが、T型の糖尿患者には子供も沢山いるらしく、
甘いものをどうしても食べたくて、わざと低血糖を起こす子までいると言っていた。

僕はこれからも、姉さんとの約束を果たすため、新しいお店を作り続けると共に、
砂糖を使わない生クリームをいつか作りたいと思っている。
もちろん、スパードライが美味しく飲める店が先決だがwww

そして、僕がもう少し生活に余裕を持ったとき、
この文章を持っていつか彼女を迎えに行きたいんだ。
病院の近くにマンションを借りて。。。


これが、ここにレスをした僕の気持ちです。

長い文章だったけど、最後までありがとう。。。
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